もぐぞうのあなぐら

周りの人達と上手く渡り歩けないもぐぞうが日々感じたことや考えを思うままに書き連ねます。

2013年03月

不覚ナリ

今日仕事の合間にネットで「とんび」のページを見ていた。
色々検索すると沢山の人が感想を書いていて、
それを読んでいるうち、様々なシーンが頭をよぎって目がウルウルしてきてしまった。

何をやってんだか…。

そんな感じでいまいち気が乗らず仕事をしていた。

ドラマのテーマとはかけ離れているのだろうけれど、
「とんび」のヤスを見てると

「まっすぐ生きろ」と言われてるような気がする。

無骨で不器用で、でもまっすぐなヤスの周りにはたくさんの人が集まって、ヤスを助ける。
周りに迷惑をかけながらもまっすぐに生きるヤスを見てると、
ほっとけないってのもあるだろうが、
周りの人たちはヤスのことが好きなんだなあと思う。
そう思わせるような演出をしているところが、先ず凄いのだが。


間違ってもいい、失敗してもいい、嘘をついてもいいから、
自分に正直にまっすぐに生きろとヤスはいっているような気がする。

6話だったか、7話だったかで、アキラが東京の大学に行って
何故編集の仕事をしたいかを語るシーンで、
同じ大学生のファッションを真似ようとするが、
貧乏学生のため、なかなか買うことが出来ず、
やっとお金が貯まって買ったときには、別のファッションに変わっていて、
なんか不釣り合いな自分を見てこう言う。

俺さ、別にやりたいことがあって東京来たわけじゃないんだよね。
でもそんなの…まあそのうち見つかるだろうと思って。
最初は、とにかく目一杯東京楽しもうと思ってたんだけどさ、何か、そういう波にも上手く乗れなくて。
東京来たところで、田舎もんは田舎もんっていうか。
俺が追いついた頃には、イケてるっていわれてるヤツらは別のことしてて。
どんどん気後れしてって。
何か俺、東京向いてないなって。
で、黙々と学校通って「夕なぎ」みたいな店でバイトして…。
ある日、バイト先に「シティ・ビート」の取材が来た。
店は、とても料理が美味しいが解りづらい場所にあった。
頑固な店主は取材に応じないと言ったが、「シティ・ビート」の編集は「こういうところを求めてる人はいっぱいいるんです」と食い下がったらしい。
店は雑誌で紹介された事で、ますます繁盛するようになった。
そうしてるうちに、何か俺、東京にビビんなくなったというか。
一皮むけばみんな同じなんだって。
それで、俺…こういう仕事やりたいなって思ったんだ。
きっと俺みたいなヤツはいっぱいいてさ、そういうヤツも等身大で東京を
楽しめるようにっていうか…ちっちゃいかな?

という台詞を言う。

感動的なシーンではないんだけれど、
なんかグッと来る感じがした。

ネットで調べてると実は「とんび」ってのは2011年の11月くらいに、
NHKでやっていたらしい。
3時間弱のドラマで、ヤスが堤真一、美佐子が西田尚美だった。
堤真一は良い役者だと思うが、やっぱヤスは内野聖陽だし、
美佐子は常盤貴子の方が清楚で綺麗なイメージがある。
もっとも作者のイメージは大原麗子らしいが。

小説とテレビとも視点が違うらしく、
テレビはアキラ目線だが、小説はヤス目線らしい。
しかし、とにかく小説がどうだろうと、NHKがどうだろうと
この「とんび」ってドラマは本当に良くできているし、
丁寧に作り込まれてるし良いドラマだと思う。

8話で病室に横たわり寝ている何十年かぶりに会う父のよこでヤスは呟く。

小さいころのことは、あんまりよく覚えてないですけど、やんちゃばっかりしてたんだと思います。
伯母さんはよく学校に呼び出されてた記憶がちょろっとあって、よく追ん出されなかったもんだって思います。
同じ並びに、たえ子姉ちゃんってのがいてね、これが、まあ、おせっかいなたちで、よく面倒みてくれたっちゃあ聞こえがいいけどあれやこれや口うるさくて…。

照雲と一緒に育ったこと。
海雲和尚に愛のゲンコを貰って育ったこと。

あの町で大学行ったり偉い人にはなれませんでしたけど、トラックの運転手にはなれましてね、トラックを乗り回すのは性に合ってて…あっ、トラックに乗ってたから美佐子っちゅう女房にも出会いまして…。

そして、とんびが鷹を生んだような旭の父親になった事…。

俺、バカだから…別の人生がいいと思ったことなんかないんです。
ホントにいっぺんもないんです。
あんたがくれた俺の人生は、何も…何も悪いことなかったです。

全部…あんたのおかげです。
あんたが俺をつくってくれたから。
いいことたくさんありました。

生まれさせてくれて、ありがとうございます。


ものすごく良いシーンだと思う。
なんつうか、ヤスの人間性というか無骨さというか正直さが良く出ているし、
この台詞をはく内野聖陽の演技が素晴らしい。
書いててまた、ウルウルしてきた。

関東の方では再放送するらしいのだが、関西ではテレビ欄を見てもやってない…。

なんで…?

こりゃあDVD買うしかないかなあ。



家族

「最高の離婚」「夜行観覧車」「とんび」どれも素晴らしいドラマです。

薦められてこの3つを見始めたのだが
昨日から「とんび」をずっと見ていて、ようやく今日追いついて、
さっき今日放送の回を見終えた。

「とんび」は毎回、涙を流しながら見ています。
最近、とても涙もろくなったのか、こういうドラマは内野聖陽が何かするたび
何か言うたび「不器用なやつやなあ」と思いながら、
涙腺が緩くなってしまいます。

特にアキラが三歳の時の一連の流れではもう涙が止まりませんでした。
子役の五十嵐陽向くんに今注目が集まっているそうですが、
あんな演技をされたら40過ぎのおっさんはたまりません。

「最高の離婚」もいいドラマです。
はじめは離婚賞賛、結婚批判のコメディドラマかと思いましたが、
いやいや、そんなもんではなく家族愛のドラマです。
瑛太の神経質さがはじめは鬱陶しく感じるくらい細かいのですが、
回を進むごとにそれがコミカルに見えて許せてしまうのです。
まあ、このドラマは尾野真千子の素晴らしい演技力と
人間の本性というか思いと言葉と行動が合致しないジレンマを上手く描いたドラマです。

同じく「夜行観覧車」も家族がテーマです。
こちらは家族の中にはらむ、不安と恐怖がテーマと言ったところでしょうか?
その「不安と恐怖」というのは家族に対してではなく、
家族の中にいる自分への「不安と恐怖」です。
お向かいで起こった殺人事件、それが実は「自分の家でも起こりえた事実」。
すれ違い己のエゴを突きつけ合う家族。
しかし、一方で家族への愛情が底辺にあって、日々の生活の中でそれが希薄になって
その存在を忘れてしまっている事実。
そして、一つの事件がそこがクローズアップされていく感じです。
これは鈴木京香演じる真弓の娘彩花を演じる杉咲花の演技、役所が見所です。



どれも「家族」がテーマでその本質をいろいろな視点で描き出しているドラマだと思います。
「家政婦のミタ」がヒットして特に「現在の家族」がテーマの作品が増えたような気がします。
まあ、それ以前から家族をテーマにしたドラマはたくさんあったでしょうし、
それほど、ドラマを見る方ではないので、もっと素晴らしいドラマはあったかもしれませんが、今回見ている三つのドラマはどれも力作というか、
しっかり作られている感じがします。

「とんび」は言うに及ばず、意外と「最高の離婚」の気持ちの揺れ動き方を見せる台詞回しやストーリーは素晴らしいと思うし、それほど、重くならずしかしながら伝えるところは手を抜かず表現しているところが素晴らしいし、
尾野真千子のとぼけた、大ざっぱな性格を表す演技、台詞の言い方、間の取り方は絶品だと思う。

「とんび」は馬鹿な父親がまっすぐに嘘偽りなく愛情を注いで子供を育てる姿が美しくて、それを演じる内野聖陽の演技が素晴らしい。
佐藤健演じるアキラの成長を描きつつ、一話から大きくなったアキラを描き、「昔の家族」と「これからの家族」をオーバーラップさせ上手く表現していると思う。

「夜行観覧車」は「子供のため」「家族のため」と自分に言い聞かせながら生活していく中で、果たしてそれが本当に誰かのためになっているのか、自分を誤魔化すためのきれい事なんじゃないかと問いかけてくるようなドラマです。凄く緊張感があり、事件を取り巻く人間模様がしっかり描かれている気がします。


昔のようにひとくくりに「家族」と言ってもそんな簡単で単純な形態ではなくなった現在、それぞれが様々な問題を抱え、「家族」と共にどう生きていけばいいのか、何を目指して、何を糧として生きていけばいいのかを問いかけているような気がします。
偶然にも今日の京都新聞に「ダウン症の子供を育てる母親」の記事がありました。
障害を持つ子供を育てていく自信のない親が、その子供の成長に助けられ、「障害も個性だと言えるようになった」というまでに強くなった母親の姿が書かれていました。

父親や母親が子供を育てるのではなく、子供と共に成長していくというのが家族なんだなあと思う。
自分が40を過ぎ端から見て大人と呼ばれるようになって、
でも、自分が子供の頃見ていた大人というものにはほど遠いような気がして
未熟な自分を情けなく思っていたりもしているけれど、
その実、しっかりしているように見えた大人も実は不安だらけだったんじゃないだろうかと、ふと思ったりもします。
様々な分野で選択肢が無数にある現代で、昔出来たいい訳が今は出来なくなり、
また、自分を正当化する事への後ろめたさを感じつつ生きていかなくてはならなくて、
毎日が不安でどうしようもない生活の中、
これらのドラマは時には周りの仲間に助けられ、時には本音をぶつけて正直になり、
時には弱さを見せることも必要だと伝えたいのではないかと思う。

「最高の離婚」で尾野真千子演じる濱崎結夏がドラマの中で「幸せになるために好きになるんじゃない」と言っているのとても印象的でした。
目的があって感情を起こすのではなく
感情がわき起こった後に結果が付いてくるってのが人ってモノなのかなあっと思う。
いろんなところで自分を抑えることが当たり前で、
理性といういい訳で自分を制御していることが正しいといつの間にか信じ込まされていて、
でも、一方で「とんび」の市川安男のような生き方にあこがれていて、
でも、自分には決して出来なくて、その事実を知って、認めざるを得なくて
「こんなもんでしようがないや」って自分に言い聞かせて、納得させていかなきゃ生きていられなくて、でもそんな生き方は窮屈で、自分が望んでもいないから不満だらけで
「じゃあどうすればいいんだ」と問いかけても、いや、問いかけることすらはばかれて、
結局自己嫌悪にしかならない日々の生活がどうしもなく嫌で、
でもそこから抜け出せなくて鬱屈とした毎日を過ごすしかない人生を受け入れられなくて…。
そんな堂々巡りを繰り返すたびに他人に興味をなくし、
自分の事しか見れなくなってしまっている気がする。
他人に目が、自分以外の誰かに目が行かなくなってしまっている。

そういう現代に、そういう人達にメッセージを送ろうとしているのが、
この三つのドラマなんじゃないかと思うのです。




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